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印度日記 2006その3 | |||
![]() ![]() 今回の旅は2週間という短いものなので(すみません、本当にあっという間でした)、とにかく登るときは体がいい状態であることに気を使った。筋肉の疲れはもちろんだけど、一番気になるのは指の状態だ。HAMPIの岩は花崗岩。同じ花崗岩でも、ヨセミテのように氷河に削られたわけではないようで、粒子が粗く薄いフレーク状のホールドが多い。したがって、指の皮、関節に辛い。それで、目標とする課題を決めて、登れる日数を考えながら、何とか良い状態でトライできるようにした。余談ではあるが、CLIMB ON BARというクリームは指の皮に非常に良かった。薄くピンク色になった指皮も、このクリームをすり込むことで、皮の復活が非常に早いように感じたのだ。 |
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HAMPIでは、その気候や生活から、あまり根つめてハードな課題にトライする場所ではないと思う。それは、その気があったら、フランスのフォンテーヌブローやアメリカのフエコタンクスかビショップにでも行ったほうがいいという意味だけど。でもそんな中でも、やっぱりナチュラルでその岩の最も弱点となる、岩が「ほらここ登れよ」と言っているようなラインで、それが自分の実力で登れるかもしれないという課題を、考えて、工夫して、頑張ってトライして、何とかできたとき最高の喜びが得られるのはどこでも同じ。ここにはいくらでも岩があるので、むしろ手付かずのそんな岩を片っ端から登れるのだけど、残念ながら時間がない。それはまた次回の楽しみに取っておくとして、ポピュラーな課題の中で、打ち込むものを見つけてトライすることにした。やっぱりいいラインは人気になるものでもあるから。 |
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![]() ![]() 前の話で少しふれたCLARITYのほかにもう一つ、登ってみたい課題があった。それはTWO TAPSという名前のもので、雑誌climbingの表紙にもなったし、ビデオpilgrimageでも紹介されている。TWO TAPSは、スッパリと切れ落ちた岩の面の両カンテを手で使い、ヒールフックやスメアリングを駆使して登り、最後にダイナミックにリップを止めてマントルを返すというもの。このリップを止めるのが核心。ランディングは傾斜した岩盤で、動きからして振られて落ちる可能性もあるので、かなり怖い。場所は北面にあるのだが、朝は微妙に日が当たり、11時ぐらいから1時ぐらいまで岩の陰に隠れて日陰となる。 ![]() ここHAMPIは世界遺産に登録されているが、その多くの遺跡はここの岩から作られている。CRARITYはそのボルダー自体に彫られたシヴァとそれを祭る祠があるので、破壊を免れたものであった。TWO TAPSは人工的に作られたものかと思ったが、切れ落ちたらしき片割れが下にあるので、自然にできたもののようだ。 |
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![]() アキ、サキ、ロバートと登りに行く。3人とも次の日が出発で、その日が最後のクライミングの日だった。マットが3枚にスポッター3人なら安心である。やはり人気課題と見えて、岩にはチョークがべったりとついている。初登したと思われる、クリス・シャーマは壁の真ん中あたりから、ビョーンとランジ気味に飛び出してリップを捉えている。取り付いてみると解るがこれは遠すぎる。いくらシャーマがでかいといっても、あの距離を「届く、キャッチできる」と確信できていることがやっぱり尋常でないと感じた。で、我々はホールドできるギリギリの高さまで、体を上げていこうとするのだが、バランスが悪く難しい。それでも、もしかしたらできるかもしれないという手応えを得て、この日は暑さのため終了となった。 落ち方さえコントロールすれば、一人でもトライできるというくらいまでの手応えがあったから、そのうちに行こうと思っていたら、ある日横パンの若い連中が一緒に登りに行かないかと、声をかけてくれた。もちろん喜んで同行する。新見が腹痛で寝込んでしまったので、長谷川、チャーリー、クンニの3人だ。何日か前に登ったというスウェーデン人にムーブを教わり、サイズの小さい自分にフィットするやり方で工夫してトライを重ねたら、リップがスタティックに止まった。リップに這い上がるのは高いけど簡単。チョー気持ちいい! その後チャーリーも登り、暑くなりすぎたので引き返す。やはり帰ってくるのが遅くなったので、この日はバテバテ。部屋で昼寝して気がついたら夜の8時だった。外に出ると近所のインド人みんなに「good morning!」と言って笑われてしまった。仕方がないので夕飯を食って、また寝る。 |
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![]() 後はCLARITYが登れれば最高なんだけど、結局何日トライしたのだろうか。トライした時間は短いけれど、5日以上は行っているはずだ。最初こそはサキ達と行ったので、リクシャーを使ったが、一人で行くには贅沢すぎるので自転車を借りた。距離は片道3キロぐらいで、20分も漕げばいいんだけど、暑さの中アップダウンのある道はなかなか辛い。宿のオーナーのムンタパが前回と同じ様に自分の自転車を貸してくれたのだが、これがまた昭和初期を思わせるような古くて重い自転車で、坂の上りが本当に辛かった。でもわざわざ、パンクを直したり、新しく鍵をつけてくれたりしてくれたので、ありがたく使わせていただいた。 ![]() 2年前も今回も全く同じところで苦心しているのだが、右足が使っている小さなエッジ以外なく、自分の身長、リーチでは、左手のホールドで肩が伸びきってしまい、そこから次の右手を出すことができない。ほんの少し左肩が入れば、左のホールドのフリクションが少しでも良くなれば、というギリギリのところまで詰めたのだか、結局それ以上できなかった。リーチと気温は仕方ないので、弱点である左肩をもっと強化しなければ、と思う。残念だけど、またHAMPIに帰ってくる理由のひとつができてしまった。 |
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